2008年12月07日

桐箪笥の産地による選び方

 日本国内においては、箪笥を製造している地域は数多くありますが、国から伝統的工芸品として指定されているのは、新潟県加茂桐箪笥、名古屋桐箪笥、埼玉春日部桐箪笥、大阪泉州、和歌山桐箪笥の5か所だけしかありません。かつては、トラックなどがなく、桐箪笥を棒通しやリヤカーなどで運ぶしかないという運送手段が限られたこともあり、なるべく桐箪笥の材料をたんすが売れる消費地の近くまで搬送して桐箪笥を製造するということが一般的でした。このため、例外となる加茂地方の桐箪笥を除いて、大都市圏が桐箪笥の産地となっています。

 江戸時代には、日本国内で最も人口が集中していて、火事も多かったことから、江戸は桐箪笥の大消費地でした。しかし、現在において東京は国の伝統的工芸品の指定を受けておりません。江戸の桐箪笥は、歴史的に100年以上の伝統があるため、国の伝統的工芸品の指定を受ける基準としては何も問題ないのですが、申請をしていなかったことから、指定を受けていません。

 桐箪笥の生産地の中でも加茂の桐箪笥だけは、独自の発展をしてきました。現在も、国内の桐箪笥の生産量としては一番数が多いのですが、その理由としては、デパートを中心に桐タンス販売の営業を積極的にかけ続け、そこでの販売量が増加しているからです。この加茂の桐箪笥は、生産・販売量としては、一番多いことは間違いないことですが、そのことが直ちに、加茂の桐箪笥が一番良品であるというのは、一概には言うことはできません。これは何も、加茂の桐ダンスが悪いということではなく、桐箪笥についての目利きを持った人が見た場合、加茂の桐箪笥といえども、良いものから、そうでないものまでいろいろな桐箪笥があるということです。

 このように桐箪笥については、どこの産地のものがよいのかという点については、産地だけでは判断が難しいものがあります。各地における桐箪笥の制作方法は、その地域に古くから伝わる伝統的なものなので、少しずつ工法も違ってきています。しかし、その工法の違いを持って、どこの産地の桐箪笥が良いとか悪いとかという判断はできません。先に述べたように、結論としては、桐箪笥の産地の違いによって、良し悪しを判断することはできないということです。つまり、どこの産地の桐箪笥であっても、良い造りのものもあれば、そうでない桐箪笥もあるということです。桐箪笥の良し悪しは、産地がどうかというよりも、むしろ桐箪笥職人の腕にかかっているといえます。
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